【初心者向け】写真編集ソフトで迷わない!よく使う用語をわかりやすく解説
写真編集の世界へようこそ。カメラで撮った写真を見返して、「もう少し明るくしたいな」「色合いを変えてみたいな」と感じたとき、写真編集ソフトはとても心強い味方になります。しかし、ソフトを開いてみると、たくさんのツールやスライダー、そして聞き慣れない言葉が並んでいて、どこから手を付ければ良いのか迷ってしまうことがあるかもしれません。
写真編集ソフトで使用される用語は、写真の状態を調整したり、特定の効果を加えたりするために使われるものです。これらの基本的な用語の意味を理解しておくと、チュートリアルを参考にしたり、他の人の編集例を見たりする際に、内容がすっと頭に入ってきやすくなります。また、ご自身で編集を進める上でも、「この写真にはこの調整が必要そうだ」と判断しやすくなり、効率的に、そして思い通りの編集に近づく手助けとなるでしょう。
この記事では、写真編集を始めたばかりの方がつまずきやすい、基本的な用語について解説いたします。画面でよく見かける言葉を中心に、その意味や写真に与える影響、そして編集のどのステップで役立つことが多いかをご紹介します。
写真編集の基本中の基本を理解する用語
まずは、写真全体の見た目を大きく左右する基本的な調整に関する用語からご紹介します。
露出(Exposure)
「露出」は、写真の全体的な明るさを調整する項目です。カメラで写真が取り込まれる際に、光をどれだけ取り込んだかによって決まります。編集ソフトでは、この露出を後から調整することができます。
- 写真への影響: スライダーを右に動かすと写真全体が明るく、左に動かすと暗くなります。
- なぜ重要?: 暗く写りすぎてしまった写真や、明るすぎて白飛び(細部が見えなくなるほど明るくなること)してしまった写真の印象を調整する、最も基本的なステップの一つです。
コントラスト(Contrast)
「コントラスト」は、写真の中の明るい部分と暗い部分の差の大きさを示します。
- 写真への影響: コントラストを上げると、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなり、写真がくっきりとしてドラマチックな印象になります。下げると、全体がフラットで柔らかい印象になります。
- なぜ重要?: 写真にメリハリをつけたり、柔らかい雰囲気にしたりと、写真の力強さや雰囲気を調整するために使われます。
ハイライト(Highlights)とシャドウ(Shadows)
「ハイライト」は写真の中で最も明るい部分、「シャドウ」は最も暗い部分を指します。これらの用語は、明るい部分だけ、または暗い部分だけをピンポイントで調整する際によく使われます。
- 写真への影響: ハイライトを調整すると空の雲のディテールを戻したり、明るい肌のトーンを整えたりできます。シャドウを調整すると、日陰の建物の細部を見えやすくしたり、暗い部分をさらに引き締めたりできます。
- なぜ重要?: 写真全体ではなく、特定の明るさの範囲だけを調整することで、白飛びや黒つぶれを防ぎつつ、写真の情報を最大限に引き出すことができます。
白レベル(Whites)と黒レベル(Blacks)
「白レベル」は写真の中で最も明るい点がどの程度の明るさになるか、「黒レベル」は最も暗い点がどの程度の暗さになるかを調整します。ハイライトやシャドウと似ていますが、より極端な明るさのポイントに影響します。
- 写真への影響: 白レベルを上げると最も明るい部分がさらに明るく(白飛びしやすくなることも)、下げると明るい部分が落ち着きます。黒レベルを下げると最も暗い部分がさらに暗く(黒つぶれしやすくなることも)、上げると暗い部分が明るくなります。
- なぜ重要?: 写真のトーンの幅(ダイナミックレンジ)を調整し、写真全体の締まりや明るさの印象を微調整するのに役立ちます。
彩度(Saturation)と自然な彩度(Vibrance)
「彩度」は写真に含まれる色の鮮やかさの度合いです。「自然な彩度」も色の鮮やかさを調整しますが、「彩度」とは少し異なる働きをします。
- 写真への影響:
- 彩度: 写真全体の色の鮮やかさを一律に増減させます。上げすぎると色が不自然にきつくなることがあります。
- 自然な彩度: 彩度の低い(くすんだ)色を中心に鮮やかにし、既に鮮やかな色にはあまり影響を与えません。肌の色への影響が少ない傾向があります。
- なぜ重要?: 写真に活気を与えたり、落ち着いた雰囲気にしたりする際に使います。「自然な彩度」は、特に人物写真などで色の破綻を抑えながら鮮やかさを増したい場合に便利です。
色相(Hue)
「色相」は、赤、青、緑といった「色み」そのものを指します。写真編集ソフトでは、特定の色相だけを別の色相に変えるような調整が可能です。
- 写真への影響: 例えば、空の青色を少し紫っぽくしたり、葉っぱの緑色を黄色っぽくしたりと、写真内の特定の色そのものを変更できます。
- なぜ重要?: 写真全体の雰囲気を大きく変えたり、特定の被写体の色を強調したり、逆に目立たなくしたりする際に使われます。
ホワイトバランス(White Balance)
「ホワイトバランス」は、写真全体の色かぶり(特定の色がかった状態)を調整し、「白」を「白」として写るように補正することです。カメラが周囲の光源の色(色温度)を判断して自動で設定することが多いですが、写真編集ソフトで後から調整することも重要です。
- 写真への影響: 白熱灯の下で撮ると写真全体がオレンジっぽく、日陰で撮ると青っぽくなることがありますが、ホワイトバランスを調整することで、これらの色かぶりを補正し、より自然な色合いに近づけることができます。意図的に調整して、暖かい雰囲気やクールな雰囲気を出すこともあります。
- なぜ重要?: 写真の色合いを本来の見た目に近づけたり、撮影時の光の状況に合わせて写真の雰囲気を作ったりするための基本的な調整です。
写真に個性や効果を加える用語
写真全体の調整だけでなく、特定の部分にだけ編集を加えたり、特定の効果を出すための用語もご紹介します。
マスク(Mask)
「マスク」は、写真編集において「編集を適用したい範囲」や「編集から保護したい範囲」を指定するために使う機能や概念です。マスキングテープのように、特定の場所だけを隠したり、露出させたりするイメージです。
- 写真への影響: マスクで指定した範囲だけに、明るさや色の調整などの編集効果を適用できます。
- なぜ重要?: 空だけを明るくしたり、人物の顔だけを少しシャープにしたりと、写真の一部分にだけ手を加えたい場合に必須となる考え方です。ブラシツールやグラデーションツールなどと組み合わせて使用します。
ブラシ(Brush)
写真編集ソフトにおける「ブラシ」は、絵を描くブラシのように、マウスやペンタブレットでなぞった部分にだけ編集効果を適用するためのツールです。マスク機能と連携して使用されます。
- 写真への影響: なぞった場所の明るさだけを変えたり、色を変えたり、部分的にシャープにしたりといった、細かい範囲の調整が可能になります。
- なぜ重要?: 写真の中の特定の被写体や、非常に細かい範囲だけを調整したい場合に非常に便利です。
段階フィルター(Graduated Filter) / 円形フィルター(Radial Filter)
これらは、写真の特定の領域に段階的(グラデーション状)に、または円形に編集効果を適用するためのツールです。これもマスクの一種と言えます。
- 写真への影響:
- 段階フィルター: 例えば写真の上端から下に向かって徐々に暗くしたり、色温度を変えたりできます。風景写真で空の明るさを調整する際などによく使われます。
- 円形フィルター: 写真の中心や特定の点を中心に、円形または楕円形の範囲に編集効果を適用できます。人物の顔だけを明るくしたり、周辺を暗くして被写体を際立たせたりするのに便利です。
- なぜ重要?: 空や地面、特定の被写体とその周囲といった、ある程度まとまった範囲に自然な形で編集効果を適用したい場合に効率的です。
効率的なワークフローとファイルに関する用語
写真編集をスムーズに進めたり、写真ファイルを適切に管理したりするための用語もあります。
RAW(ロウ)ファイルとJPEG(ジェイペグ)ファイル
これらは写真のファイル形式を表す言葉です。
- RAW: カメラのセンサーが取り込んだ情報を、加工せずに「生のまま」記録したファイル形式です。データ量が非常に大きいですが、後から明るさや色合いを編集する際の劣化が少なく、より幅広い調整が可能です。
- JPEG: 一般的によく使われるファイル形式です。カメラがRAWデータから自動的に調整を行い、圧縮して記録します。ファイルサイズは小さいですが、編集の自由度はRAWに比べて制限されます。
- なぜ重要?: 編集を前提とする場合は、より多くの情報を持つRAWで撮影・編集するのが一般的です。一方、手軽さや汎用性ではJPEGが優れています。ご自身の目的や編集スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
現像(げんぞう)
写真編集ソフトにおいて、「現像」という言葉は、RAWファイルに対して編集(明るさ、色、コントラストなどの調整)を行い、視覚的に完成した状態にすることを指します。フィルム写真における現像作業に由来する言葉です。
- 写真への影響: RAWファイルは「生」のデータなので、現像作業を経て初めて私たちの目に見える形(JPEGなどの画像データ)になります。編集ソフトで行う多くの調整作業そのものを「現像」と呼ぶことがあります。
- なぜ重要?: RAWファイルを扱う上で中心となる作業です。編集の方向性を決め、写真の基盤を作り上げるプロセスです。
書き出し(Export)
「書き出し」は、編集を終えた写真を、SNSにアップロードするため、印刷するため、またはウェブサイトに掲載するためなど、特定の用途に合わせたファイル形式(JPEGなど)やサイズ、画質で保存する作業です。
- 写真への影響: 編集ソフトで作業中のデータ形式から、広く共有・利用できる画像ファイル形式に変換されます。ファイルサイズや画質、色空間などがこの時に設定されます。
- なぜ重要?: どんなに素晴らしい編集をしても、目的に合った形式で書き出さなければ、その写真を活用することができません。用途に合わせた設定で行うことが重要です。
プリセット(Preset)
「プリセット」は、写真編集ソフトでよく使う編集設定(明るさ、コントラスト、色合いなどの調整値の組み合わせ)を事前に保存しておき、他の写真にワンクリックで適用できる機能です。
- 写真への影響: 保存しておいた特定の編集スタイル(例: 映画のような色合い、モノクロ、セピアなど)を、簡単に別の写真に適用できます。
- なぜ重要?: 特定の雰囲気を素早く写真に与えたり、複数の写真に統一感のある編集を施したりする際に非常に効率的です。ご自身の気に入った設定をプリセットとして保存しておけば、「私だけの編集スタイル」を簡単に再現できます。
まとめ:用語を理解することが、編集の楽しさへとつながる
ここまで、写真編集でよく使われる基本的な用語をいくつかご紹介しました。最初は聞き慣れない言葉が多く、難しく感じるかもしれませんが、これらの用語は写真の状態を理解し、意図を持って編集を進めるための大切な鍵となります。
今回ご紹介した用語の意味が分かれば、写真編集ソフトの画面を見たときに「あ、このスライダーは明るさを調整するものなんだな」「このツールは写真の一部にだけ効果をかけられるんだな」と、操作の目的が理解しやすくなるはずです。
用語の理解は、単にツールの使い方を知るだけでなく、「なぜこの調整をするのか」「この調整によって写真がどう変わるのか」という写真編集の考え方を学ぶ上での土台となります。様々な写真編集の記事やチュートリアルを参考にしたり、ご自身の写真を試行錯誤しながら編集したりする中で、これらの用語が自然と身についていくでしょう。
ぜひ、これらの基本的な用語を手がかりに、ご自身の写真にどのような調整を加えることができるのか、探求してみてください。用語の意味を知ることで、写真編集がよりスムーズに、そして「自分らしい写真」へと近づける楽しい時間になることを願っています。