【初心者向け】写真の「雰囲気」を操る!なりたいイメージで始める編集の方向性
写真編集で「雰囲気」を意識することの重要性
写真編集を始めたばかりの頃は、明るくしたり、色を鮮やかにしたりと、なんとなくスライダーを動かしているという方も多いかもしれません。しかし、撮った写真をより魅力的に見せ、自分の個性を表現するためには、「この写真をどんな雰囲気にしたいか」という明確なイメージを持つことが非常に大切になります。
ここで言う「雰囲気」とは、写真全体から伝わってくる印象のことです。例えば、「明るく爽やかな写真」「暖かく優しい写真」「クールで引き締まった写真」「少しノスタルジックな写真」など、見る人に与える感情や感覚を指します。
なりたい「雰囲気」を先に決めることで、どのようなツールを使って、どのパラメータをどの方向に調整すれば良いかという編集の方向性が定まります。これにより、手探りでの作業が減り、効率的に理想のイメージに近づけることができるようになります。
あなたの写真の「なりたい雰囲気」を見つけるヒント
では、具体的にどうやって「なりたい雰囲気」を見つければ良いのでしょうか。いくつかヒントをご紹介します。
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写真そのものと向き合う:
- まず、編集したい写真を見ながら、撮影した時の状況や、写真から自分がどんな印象を受け取るかを感じてみましょう。その印象を、編集でどのように強めたいか、あるいは少し変えたいかを考えてみます。
- 被写体、光の当たり方、背景、色合いなど、写真に含まれる要素から自然に連想される雰囲気を探るのも一つの方法です。
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参考にしたい写真を見る:
- Pinterest、Instagram、写真集など、自分が「いいな」と感じる写真を見てみましょう。それらの写真がどのような「雰囲気」を持っているか言葉にしてみます(例:「ふんわりしている」「色が濃い」「光が柔らかい」など)。
- 特に、自分の撮った写真と似たテーマや被写体の写真から、編集でどのように雰囲気を演出しているか学ぶのは有効です。
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感情やテーマを考える:
- その写真を撮った時の気持ちや、写真を通して伝えたいテーマは何でしょうか。「楽しかった思い出」「穏やかな時間」「力強さ」「寂しさ」など、感情やテーマと結びつけることで、それに合った雰囲気が見えてくることがあります。
最初は漠然としていても構いません。「もう少し明るくしたい」「色を落ち着かせたい」といった素朴な感覚からスタートし、徐々に具体的なイメージを膨らませていくのが良いでしょう。
イメージ別:基本的な編集の方向性と使うツール
ここでは、いくつかの代表的な「なりたい雰囲気」を例に、どのような編集の方向性で、主にどのようなツール(調整項目)を使えば良いかの基本的な考え方をご説明します。PC版ソフトには様々な機能がありますが、まずは基本的なツールから始めましょう。
多くの写真編集ソフトでは、以下のような基本的な調整ツールが使えます。
- 露光量(Exposure)/明るさ: 写真全体の明るさを調整します。
- コントラスト(Contrast): 明るい部分と暗い部分の差を調整し、写真にメリハリを与えます。
- ハイライト(Highlights): 写真の明るい部分だけを調整します。
- シャドウ(Shadows): 写真の暗い部分だけを調整します。
- 白レベル(Whites)/黒レベル(Blacks): 写真の一番明るい点、一番暗い点を決め、階調の幅を調整します。
- 色温度(Temperature): 写真全体の色の暖かさ(オレンジ寄り)または冷たさ(青寄り)を調整します。
- 色かぶり補正(Tint): 写真全体の色の偏り(マゼンタ寄りまたはグリーン寄り)を調整します。
- 彩度(Saturation)/自然な彩度(Vibrance): 色の鮮やかさを調整します。彩度は写真全体に均一に影響し、自然な彩度は主にくすんだ色に影響して、肌の色などに影響を与えにくい傾向があります。
これらのツールを、なりたい雰囲気に合わせて組み合わせて使います。
例1:「明るく、爽やかな」雰囲気にしたい
- 編集の方向性: 写真全体を明るくし、クリアな印象にします。光を感じさせるような調整を心がけます。
- 使うツールと考え方:
- 露光量: 写真全体を少し明るくします。ただし白飛びには注意が必要です。
- ハイライト: 明るすぎる部分(空など)があれば、少し抑えてディテールを残します。
- シャドウ: 暗い部分を持ち上げて、明るく開けた印象にします。
- 白レベル: 全体的に明るいトーンになるよう調整します。
- 色温度: 少しだけ青寄りにすると、爽やかな印象が増すことがあります。
- 彩度/自然な彩度: 自然な彩度を少し上げると、色が活き活きとして爽やかさが出ます。上げすぎると不自然になるので注意します。
- コントラスト: 明るくしすぎると眠たい印象になることがあるため、必要に応じてコントラストを少し加えることでメリハリを出します。
例2:「暖かく、優しい」雰囲気にしたい
- 編集の方向性: 全体的に柔らかく、暖かみのあるトーンにします。ふんわりとした印象を目指します。
- 使うツールと考え方:
- 色温度: オレンジ寄りに調整し、暖かさを加えます。
- 露光量: 全体を少し明るく、または適度な明るさに調整します。
- コントラスト: 低めに設定すると、明るい部分と暗い部分の差が小さくなり、柔らかく優しい印象になります。
- ハイライト/シャドウ: 極端な明るさや暗さをなくすように調整します。シャドウを持ち上げて暗い部分を和らげるのも効果的です。
- 黒レベル: 少し持ち上げて、写真の一番暗い部分を完全な黒にしないことで、柔らかさを出せます。
- 彩度/自然な彩度: 彩度を控えめにすると、落ち着いた優しい雰囲気になります。
例3:「クールで、引き締まった」雰囲気にしたい
- 編集の方向性: 全体的に暗めのトーンや青み、あるいはモノトーンに近い表現で、シャープで洗練された印象を目指します。
- 使うツールと考え方:
- 色温度: 青寄りに調整し、クールな印象を加えます。
- 露光量: 適度な明るさ、あるいは少し暗めに調整します。
- コントラスト: 高めに設定すると、明暗の差が強調され、引き締まった印象になります。
- シャドウ/黒レベル: シャドウを沈めたり、黒レベルを下げて暗い部分をしっかり黒くしたりすることで、重厚感やクールさが増します。
- 彩度: 彩度を下げる、またはモノクロにすることで、クールさやアート的な雰囲気を出すことができます。
例4:「少しノスタルジックな」雰囲気にしたい
- 編集の方向性: 少し色あせたような、あるいは古びた写真のような雰囲気を目指します。特定の色のトーンを強調することもあります。
- 使うツールと考え方:
- 彩度: 彩度を全体的に低めに設定し、色あせたような印象にします。
- コントラスト: 低めに設定すると、古い写真のような平坦なトーンになります。
- 黒レベル: 少し持ち上げて、完全な黒をなくすことで、ソフトで古風な雰囲気を出すことができます。
- 色温度/色かぶり補正: 少し暖かめ(オレンジ寄り)や、特定の色(例:緑やマゼンタ)にわずかに偏らせることで、独特の雰囲気を出すことができます。
- トーンカーブ: より細かく明暗や色合いを調整することで、フィルム写真のような質感を再現することも可能ですが、これは少し応用的なツールになります。
これらの例はあくまで基本的な方向性です。写真の内容や元の状態によって最適な調整は異なりますし、他のツール(例えばHSLツールでの特定の色調整や、トーンカーブでの微調整など)を組み合わせることで、さらに多様な雰囲気を創り出すことができます。
実践!まずは一つ、試してみましょう
「なりたい雰囲気」を見つけること、そしてそれを目指して編集することは、自分の写真に個性を出すための第一歩です。色々な雰囲気に挑戦してみることで、あなたの写真に最も合うスタイルや、あなたが表現したい世界観がきっと見つかるはずです。
まずは、今日学んだいくつかの雰囲気の中から、一つ興味のあるものを選んで、手持ちの写真で試してみてください。完璧を目指す必要はありません。各スライダーを動かしてみて、写真がどう変化するかを感じ取ることが大切です。
「明るく爽やかを目指したけど、なんだか違うな」「暖かくしてみたら、この写真にはこっちの方が合うかも」といった試行錯誤が、あなたの「私だけの編集フロー」を見つける上で非常に役立ちます。
まとめ
写真編集における「雰囲気」とは、見る人に与える印象のことです。なりたい雰囲気を明確にすることで、編集の方向性が定まり、より効率的かつ意図的に写真の魅力を引き出すことができます。
明るく爽やか、暖かく優しい、クールで引き締まった、ノスタルジックなど、様々な雰囲気がありますが、それぞれの雰囲気に合わせた基本的な編集の考え方や、使うべきツールの方向性があります。
まずは手持ちの写真で、今回紹介したような具体的な「なりたい雰囲気」をイメージしながら編集に挑戦してみてください。経験を積むうちに、きっとあなたらしい写真の「雰囲気」の作り方が見つかるでしょう。あなたの写真編集が、さらに楽しく、そして個性を輝かせる時間となることを願っています。