【初心者向け】写真の質感を調整!クリアな写真にする「テクスチャ」「明瞭度」「かすみ除去」の使い方
写真の「質感」を調整して写真の印象を変える
写真編集ソフトを開いて、たくさんのスライダーを見て「どれを触ればいいの?」と迷うことはよくあります。特に、写真の明るさや色とは少し違う、「質感」を調整するツールは、初心者の方には馴染みが薄いかもしれません。
しかし、写真の「質感」を少し調整するだけで、写真全体の印象をガラッと変えることができます。例えば、被写体をより際立たせたり、風景写真をよりクリアに見せたり、少し柔らかい雰囲気にしたりと、表現の幅が大きく広がります。
今回は、写真編集ソフトでよく目にする「テクスチャ」「明瞭度」「かすみ除去」という3つのツールに焦点を当て、それぞれが写真にどのような効果をもたらすのか、そしてどのように使うと良いのかを初心者の方にも分かりやすく解説します。これらのツールを理解し、使いこなせるようになれば、あなたの写真がさらに魅力的になるはずです。
「テクスチャ」とは?写真のディテールに影響を与えるスライダー
「テクスチャ」スライダーは、写真の中にある細かいディテール(例えば、葉っぱの葉脈、肌の質感、布地の織り目など)のコントラストを調整するツールです。
- スライダーを右に動かす(プラスの値): 細かい部分のコントラストが強まり、ディテールがよりはっきり、シャープに見えるようになります。被写体の質感を強調したい場合や、写真に少し力強さを加えたい場合に効果的です。
- スライダーを左に動かす(マイナスの値): 細かい部分のコントラストが弱まり、ディテールが柔らかく、滑らかに見えるようになります。ポートレートで肌を滑らかにしたい場合や、写真に優しい雰囲気を加えたい場合に使うことがあります。
このツールは、写真全体の明るさや色には大きな影響を与えずに、特定の部分の「ざらつき」や「滑らかさ」だけを調整できるのが特徴です。ただし、強く適用しすぎると不自然に見えることもあるため、控えめに調整するのがおすすめです。
「明瞭度」とは?写真にクリアさと深みを加えるスライダー
「明瞭度」スライダーは、写真の中間トーン(明るすぎず暗すぎない部分)のコントラストを調整するツールです。簡単に言うと、写真全体の「クリアさ」や「くっきり感」を調整するのに使われます。
- スライダーを右に動かす(プラスの値): 中間トーンのコントラストが強まり、写真がより引き締まり、クリアで立体的に見えるようになります。風景写真で奥行きを出したい場合や、被写体を際立たせたい場合に効果的です。写真に力強さやドラマチックさを加えたいときにも使われます。
- スライダーを左に動かす(マイナスの値): 中間トーンのコントラストが弱まり、写真が柔らかく、霞がかったような雰囲気になります。ポートレートで夢のような雰囲気にしたい場合や、意図的に柔らかな描写にしたい場合に使うことがあります。
「明瞭度」は写真全体の印象に強く影響するため、適用する際は写真を見ながら慎重に調整することが大切です。強くかけすぎると、写真が不自然に硬くなったり、ハイライトやシャドウが潰れてしまったりすることがあります。
「かすみ除去」とは?空気感やコントラストを調整するスライダー
「かすみ除去(Dehaze)」スライダーは、写真にかかっている「かすみ」や「もや」を取り除くために設計されたツールです。遠景の風景写真などで空気中の水分や塵によって発生するかすみを取り除くのに特に効果的ですが、それ以外の写真でも活用できます。
- スライダーを右に動かす(プラスの値): 写真のかすみが取り除かれ、コントラストが高まり、色が鮮やかになります。遠景がクリアに見えるようになり、写真にメリハリが生まれます。
- スライダーを左に動かす(マイナスの値): 写真にかすみやもやを加えたような効果が得られ、コントラストが低く、色が薄くなります。意図的にノスタルジックな雰囲気や、柔らかな印象を作りたい場合に使うことがあります。
「かすみ除去」は、特にコントラストと色の鮮やかさに大きく影響します。右に強く動かしすぎると、不自然にコントラストが強くなりすぎたり、色が飽和しすぎたりすることがあります。また、被写体のエッジが強調され、ノイズが目立ちやすくなる場合もありますので、写真全体を見ながらバランス良く調整することが重要です。
3つのツールを組み合わせて写真の個性を出す
「テクスチャ」「明瞭度」「かすみ除去」はそれぞれ異なる効果を持ちますが、これらを組み合わせて使うことで、より多様な写真表現が可能になります。
- 例えば、風景写真で遠景をクリアにしつつ、岩肌や木のディテールも強調したい場合は、「かすみ除去」で遠景をクリアにし、「テクスチャ」で岩肌などのディテールを出す、といった使い方が考えられます。
- ポートレートで肌を滑らかに見せたい場合は、「テクスチャ」をマイナスの値にしますが、写真全体の立体感は保ちたいので「明瞭度」をプラスに少しだけ動かす、といった調整も有効です。
- スナップ写真で日常の空気感を出しつつ、被写体の存在感を少しだけ強調したい場合は、「明瞭度」を少しプラスにしてメリハリをつけ、「テクスチャ」はそのままか、少しだけマイナスにして柔らかさを残す、といった具合です。
どのツールをどれくらい使うかは、写真のテーマやあなたがどんな雰囲気にしたいかによって変わります。正解は一つではありません。いろいろな写真を触ってみて、スライダーを動かすことで写真がどう変化するかを体験してみてください。
編集ワークフローでの位置づけ
これらの質感調整ツールは、写真編集のワークフローの中で、明るさや色の基本的な調整(露出、コントラスト、ホワイトバランス、色相・彩度など)を行った後に適用することが一般的です。基本的な調整で写真の土台を整えてから、仕上げとして質感や空気感を調整していく流れが効率的です。
具体的な手順としては、
- 写真を開き、全体を確認する。
- 露出、コントラスト、ハイライト・シャドウなどの基本補正で明るさを整える。
- ホワイトバランスやHSLツールなどで色味を調整する。
- 必要に応じてトリミングやレンズ補正を行う。
- ここで「テクスチャ」「明瞭度」「かすみ除去」スライダーを使って、写真の質感やクリアさを調整する。
- 最後にシャープネスやノイズ軽減、部分補正などを行って仕上げる。
というステップの中に位置づけると良いでしょう。
まとめ
今回は、写真の質感調整に役立つ「テクスチャ」「明瞭度」「かすみ除去」の3つのツールについて解説しました。
これらのツールは、写真の細かい部分のコントラストや、写真全体のクリアさ、空気感を調整することで、写真の印象を大きく左右します。
- テクスチャ: 細かいディテールをはっきりさせたり、滑らかにしたり。
- 明瞭度: 写真全体をクリアに、立体的に見せたり、柔らかくしたり。
- かすみ除去: かすみを取り除きクリアにしたり、逆にかすみを加えて雰囲気を出したり。
これらのツールは、単独で使うことも、組み合わせて使うことも可能です。あなたの写真のテーマや表現したい雰囲気に合わせて、スライダーを動かしてみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、何度も試しているうちに、これらのツールがあなたの写真表現の強い味方になることを実感できるはずです。ぜひ、あなたの写真で試して、新しい表現方法を見つけてみてください。