複数の写真でテイストを統一！初心者向け編集のコツとワークフロー
なぜ写真のテイストを統一することが大切なのか
写真を撮り始めたばかりの頃は、一枚一枚の写真に集中して編集を行うことが多いかもしれません。もちろん、それも写真と向き合う素晴らしい方法です。しかし、何枚かの写真をまとめて見たり、SNSなどで連続して公開したりする際に、「なんだかバラバラに見えるな」と感じた経験はありませんでしょうか。
写真のテイスト（雰囲気や色合いなどの全体的な調子）を統一することは、いくつかの重要なメリットがあります。
まず、「あなたの写真らしさ」という個性を表現しやすくなる点です。特定のテイストで継続的に写真を編集していくことで、見る人にあなたの写真だと認識してもらいやすくなります。これは、アーティストが独自のスタイルを持つことと似ています。
次に、複数の写真を並べたときに全体としてまとまりが生まれ、より魅力的に見える効果があります。例えば、旅行の写真をまとめる際や、特定のテーマで写真を撮りためた場合など、テイストが揃っていると、単なる個別の写真の集まりではなく、一つの「作品」や「ストーリー」として捉えてもらいやすくなります。
そして、編集作業の効率が向上するという現実的なメリットもあります。一度決めたテイストの方向性に基づいて編集することで、毎回ゼロから試行錯誤する時間を減らすことができます。特にPCでの編集に慣れていない方にとっては、作業時間の短縮は大きな助けとなるでしょう。
この記事では、PC版の写真編集ソフト初心者の方に向けて、写真のテイストを統一するための基本的な考え方、実践しやすい編集のコツ、そして効率的なワークフローの作り方をご紹介します。
写真のテイストを決める要素とは？
「テイストを統一する」と言っても、具体的に何を統一すれば良いのでしょうか。写真のテイストは、いくつかの要素の組み合わせによって生まれます。主な要素としては、以下のようなものが挙げられます。
- 明るさとコントラスト: 写真全体の明るさや、明るい部分と暗い部分の差（メリハリ）です。明るくふんわりした写真、暗く引き締まった写真など、印象を大きく左右します。
- 色味と色のバランス: 写真全体の色の傾向（暖色系、寒色系など）や、特定の色（空の色、肌の色など）がどのように表現されているかです。青みがかったクールな写真、赤みがかった温かい写真など、感情に訴えかける重要な要素です。
- 質感やシャープネス: 写真の鮮明さや、ディテールの表現です。クリアでシャープな写真、少し柔らかい雰囲気の写真などがあります。
- ホワイトバランス: 写真の「白」を正しく表現するための設定ですが、意図的に調整することで写真全体の「色かぶり」（特定の色に偏ること）を調整し、写真の雰囲気を作ることができます。
これらの要素を、複数の写真で一貫性のある方向性で調整していくことが、テイストを統一するということです。
初心者でもできる！簡単なテイスト統一のステップ
PC版の編集ソフトにまだ慣れていない方でも取り組みやすい、テイスト統一の基本的なステップをご紹介します。
ステップ1：基本調整の方向性を決める
まず、編集したい写真の中から、最もイメージに近い一枚を選んで、明るさ、コントラスト、ホワイトバランスといった基本的な調整を行います。ここで、写真全体の「なりたい雰囲気」を意識してみましょう。
例えば、「明るく柔らかい雰囲気にしたい」のであれば、 * 露出（明るさ）を少し上げる * コントラストを少し下げる * ハイライト（写真の明るい部分）を抑えめに、シャドウ（写真の暗い部分）を持ち上げる（全体の明るさを底上げし、柔らかい印象に） * ホワイトバランスを少し暖色寄り（黄色や赤）にする
といった調整が考えられます。
逆に「クールで引き締まった雰囲気にしたい」のであれば、 * 露出は適切に、あるいは少し暗めに * コントラストを上げる * シャドウを引き締め（暗くし）、ハイライトを強調する * ホワイトバランスを少し寒色寄り（青や緑）にする
といった調整が考えられます。
ステップ2：特定の色味に統一感を持たせる
写真全体の基本調整ができたら、次はその写真に含まれる特定の色を調整してみましょう。例えば、風景写真であれば空の青や緑、ポートレートであれば肌の色などが重要になります。
写真編集ソフトには、HSL（色相・彩度・輝度）ツールなど、特定の色だけを選んで調整できる機能があります（これは既存記事でも触れられていますね）。このツールを使って、複数の写真で同じ色が似たような色合いになるように調整することで、より統一感が増します。
例えば、すべての写真で空の青を少しシアン寄りにして鮮やかにする、といったように、共通する色の調整ルールを決めると良いでしょう。
ステップ3：調整内容を他の写真に適用する
一つの写真で基本調整と特定の色味調整によって理想のテイストに近づけたら、その調整内容を他の写真にコピー＆ペーストします。多くのPC版編集ソフトには、この機能が備わっています。
これにより、一枚の写真に行った複雑な調整も、瞬時に他の写真に適用することができます。これが、テイスト統一と同時に編集時間を大幅に短縮できるポイントです。
ただし、写真によって明るさや色の状況は異なりますので、コピー＆ペーストした後に、その写真に合わせて微調整が必要になる場合がほとんどです。コピーはあくまで出発点であり、そこから個別の写真の状況に合わせて調整を加えて仕上げていきます。
ワークフローでテイスト統一を効率化する
前述のコピー＆ペーストは、まさに効率的なワークフローの一部です。さらに一歩進んで、ワークフロー全体でテイスト統一を意識する方法を考えてみましょう。
プリセットを活用する
写真編集ソフトには、あらかじめ用意された、あるいは自分で作成した「プリセット」と呼ばれる調整設定のテンプレート機能があります。これは、明るさ、コントラスト、色味などの複数の調整を一括で適用できる非常に便利な機能です。
例えば、あなたが「明るく柔らかい暖色系」のテイストが好きだとします。そのテイストを実現するための各種調整を一度行い、それを「マイウォームトーン」のような名前でプリセットとして保存しておけば、次回以降、新しい写真を開いた際にそのプリセットを適用するだけで、一瞬で基本的なテイストを揃えることができます。
最初は既存のプリセットを使ってみて、それが自分の好みに合っているか、どのような調整内容で構成されているかを見て学ぶのも良いでしょう。慣れてきたら、先ほどの手順（ステップ1〜2）で確立したあなた自身のテイストをプリセットとして保存することをおすすめします。
編集の初期段階でテイストの方向性を意識する
編集に取りかかる前に、その写真や一連の写真でどのようなテイストを目指したいのか、ぼんやりとでも良いのでイメージを持つことが大切です。明るくしたいのか、暗くしたいのか、暖かくしたいのか、クールにしたいのかなど、大まかな方向性が定まっているだけで、編集中の迷いを減らすことができます。
例えば、同じ海の写真でも、「夏らしいカラッと明るい青」にしたいのか、「夕暮れ時のしっとりとした暖色」にしたいのかで、取るべき編集のアプローチは全く異なります。
シリーズで撮影する場合は共通設定を検討する
特定の場所やテーマで複数の写真を撮影する場合、カメラの設定（ホワイトバランスやピクチャースタイルなど）をある程度固定することも、後の編集でのテイスト統一を助けます。ただし、これは必須ではありませんし、状況によっては設定を変える必要があることも多いので、参考として考えてください。編集ソフトでの後処理で十分対応可能です。
自分らしいテイストを見つけるヒント
「自分らしいテイスト」と言われても、どうやって見つけたら良いのか分からない、という方もいるかもしれません。そんな時は、以下のヒントを試してみてください。
- 好きな写真から学ぶ: 自分が「良いな」と感じる写真（他の人の作品でも、過去の自分の写真でも）をよく見てみましょう。どんな明るさか、どんな色合いか、どのような雰囲気に惹かれるのかを分析します。そこに、あなたの好みのテイストのヒントが隠されています。
- 積極的に試してみる: 様々なプリセットを適用してみたり、全く異なる調整を試したりして、自分の写真がどのように変化するかを見てみましょう。「これは違うな」という経験も、自分が何を求めているのかを理解する上で貴重なステップです。
- 編集の記録をつける: どのような調整をしたら、どうなったのかをメモしておくと、後で見返したときに参考になります。特に、気に入ったテイストに仕上がった際は、その時の設定や手順を記録しておくと、再現性が高まります。
- 完璧を目指しすぎない: 最初から「これぞ私のテイスト！」と完璧なものを見つけようと気負う必要はありません。編集経験を積む中で、あなたのテイストは自然と洗練されていきます。まずは、簡単な一貫性を持たせることから始めてみましょう。
まとめ：テイスト統一で編集をもっと楽しく
写真のテイストを統一することは、あなたの写真をより魅力的に見せ、個性を表現するための強力な手段です。同時に、調整設定のコピー＆ペーストやプリセットの活用といったワークフローを取り入れることで、編集にかかる時間を短縮し、作業効率を大幅に向上させることができます。
PC版編集ソフト初心者の方にとっては、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本調整の方向性を定め、特定の色味に統一感を持たせ、その設定を他の写真に適用するというステップから、ぜひ試してみてください。
自分らしいテイストを見つけ、それを写真に反映させていく過程は、写真表現の面白さをさらに広げてくれるはずです。この記事が、あなたの「私だけの編集フロー」を構築する一助となれば幸いです。